黎明の麒麟ー凌暁と雪蘭の伝説ー

麒麟が天に向かって吠えた。

するとたちまちに雷雲が現れ、
圧倒的な雷が神殿を貫く。
それは蓮音に加担していた神官・巫女たちを
一瞬で焼き尽くした。

潔白だった数名だけが光に守られ、
生き残ったのだった。

その光景に愕然とした蓮音は膝から崩れた。

「どうして……どうして私だけ……私は神殿のために……
 権威を守るために……全部……全部……!」
涙がぽたぽた落ちる。
初めて彼女は自分の弱さをさらけ出していた。

そんな彼女を横目に、
麒麟は振り返り、凌暁を見つめる。

「凌暁。お前に、この神殿の闇を断つ役を与える。」
麒麟の胸元に光が凝縮し、
一本の霊剣となる。

刃は蒼天の如く透き通り、
振るえば雷鳴が走る。
伝説の霊剣《蒼天一閃》である。

「受けよ。これは全ての邪を断ち、世界を照らす剣だ。」

凌暁は震える手でその剣を受け取った。
「……必ず、この闇を断ち切ります。」