その時、部屋の外で声がした。
「……蓮音様の命に、もはや従う必要はない。」
「神殿を腐らせたのは、蓮音様たちだ。」
聞き慣れた神官たちの声。
だがその響きには、かつての忠誠はなかった。

「真実の儀の準備を急げ。凌暁殿と雪蘭殿を通せ。彼らに神殿を浄めてもらうしかない。」
蓮音の心臓が跳ね上がった。
裏切り――。
とうとう、この神殿にまで。

「やめろ……!」
蓮音は立ち上がり、扉を開けて叫んだ。
だが神官たちは冷たい目を向けるだけだった。
「蓮音様。もはやあなたに、神の声は届いていない。」
その言葉は刃となって蓮音の胸に突き刺さる。
「雪蘭殿こそ、真の巫女にふさわしい。貴女も分かっているでしょう。」
「黙れえええええ!!」
蓮音の叫びは、
もはや祈りでも命令でもなく、
ただの絶望だった。

その頃、神殿裏門では——
反・蓮音派の神官たちが、
凌暁と雪蘭に深く頭を下げていた。
「どうか……神殿を、お救いください。」

そして二人は、
ついに蓮音との直接対決へと足を踏み出す。
神殿の闇を暴く「真実の儀」を行うために。