蓮音の喉がひくりと震える。
――真実の儀が行われれば、終わる。神殿の腐敗も、弱りきったわたしの霊力も。
その未来の恐怖が胸を締め付けた。
「……ならば。その儀など……させはしない!!」
蓮音は両手を掲げ、
禁足の間の封印を破ろうと霊力を奮い起こす。

黒い霧が渦巻き、
天啓の空間そのものが悲鳴をあげた。
その瞬間、
天啓の外から雷鳴のような轟きが響く。

麒麟の気が雪蘭の呪詛を押さえ込み——
それは雪蘭が真実へ近づいた証。

蓮音の顔が青ざめた。
「来る……!雪蘭……そして……凌暁が……!!」
恐怖と憎悪と焦燥が入り混じった叫びが、
禁足の間に響いた。