「どうしてこうなったんだろう」
家庭科実習室のお客様席で、『学園パトロール隊慰労会』の垂れ幕を見ながらリュークに問いかける。金をかけている学園だけあって、テーブル席エリアまで用意されている。
「たぶんお前のせいだろ?」
「リュークたちは台車レースの時、先に戻ったじゃないか。むしろ、その時になんかあったんだろ?」
「特には……あの侯爵家の次男、セヴォルトに『ベル子とルリルリの親衛隊をつくってもいいか』と聞かれたくらいだな」
「それだろ! 早く言えよ!」
思いっきりファンクラブじゃないか! しかもルリアンまで!? やはり前世で人気のあった二人は男心をくすぐるのだろうか。
「冗談だと思ったんだよ……」
原因をつくったのはお前だろうという目で見られる。あのあと、どんな会話があったんだ。
無事、変顔選手権イベントは起こらなかったようだ。顔が固定してしまった奴らが仲間と共に旧校舎に駆け込んでくるはずが、まったく来ない。おそらく俺たちの知らない間に、ただ皆で変顔をして遊ぶだけのイベントに変化したのだろう。
問題は、ロシアンルーレットお団子事件だ。これが……おそらく、この学園パトロール隊慰労会に変化した。
慰労されるほどの活躍はしていない。なにせ俺らは入学したばかりだ。単に「ルリルリとベル子に美味しいお団子を選んでもらおう審査会」とあからさまにするのはよくないと、パトロール隊を巻き込んだのだろう。
「ルリルリさん、もうすぐできますからね!」
「はい、楽しみにしています」
「ベル子さんっ、たぶん会心の出来ですよ」
「うん。頑張って」
隙あらばあの二人に話しかける料理好き男子たち……。俺たちと同学年の侯爵次男、セヴォルトが友人に呼びかけたようだ。
今回は一年生の方が多い。ちょうど新入生たちが仲よくなってきたところで、可愛い同学年の女の子と仲よくなれるチャンスをセヴォルトが持ってきた、というところだろう。
そんなわけで、慰労会だというのに最初に自己紹介までした。そしてどうやら、しゃべる猫であるトラを気になっていた奴も多かったらしい。
「ほんとにトラさんは、なんでも食べられるんです?」
「にゃーは特別な猫にゃん。なんでも持ってこいなのにゃん」
「だそうよ。私が保証するわ」
トラもマスコットキャラとしてチヤホヤされている。丁寧語で話しかけられているのは、オリヴィアが抱いているからだろう。王子である俺の仲間だという認識のせいもあるのかもしれない。
オリヴィアも貴族以外の生徒が話しかけにくい雰囲気をまとっていたものの、トラのお陰で他の生徒とも交流をするようになってきたようだ。
隣にいるラビッツに話しかける。
「ラビッツ、ごめんな。お前に話しかける男がいないのは俺の婚約者だからであって、モテないわけじゃないからな」
「はぁ!? 分かっているわよ。なんなの、私が物欲しそうにしていたっていうの」
「い、いや、一応フォローしておこうかと」
「いらないわよ。うるさいのよ」
機嫌が悪いな。なんだかんだ言って、やっぱりモテたいのか?
「ニコラも……食べるのよね」
「まぁ、そうなるな。生徒の手作りではあるけど、事前に知らされていたからな。黒子が下調べはしているだろう」
さすがに、学園に毒見役はいない。おかしなものを生徒たちが入手していなかったか、調査はされているはずだ。
「あんた、クッキーは好きなの」
「へ? クッキー? まぁ、甘いものは好きだな」
「それなら、まずはこれを食べなさいよ」
「???」
突然ラビッツの顔が赤くなって震える手で鞄から小さな紙袋を取り出すと、そこからクッキーを一枚、俺の口に押し付けた。
家庭科実習室のお客様席で、『学園パトロール隊慰労会』の垂れ幕を見ながらリュークに問いかける。金をかけている学園だけあって、テーブル席エリアまで用意されている。
「たぶんお前のせいだろ?」
「リュークたちは台車レースの時、先に戻ったじゃないか。むしろ、その時になんかあったんだろ?」
「特には……あの侯爵家の次男、セヴォルトに『ベル子とルリルリの親衛隊をつくってもいいか』と聞かれたくらいだな」
「それだろ! 早く言えよ!」
思いっきりファンクラブじゃないか! しかもルリアンまで!? やはり前世で人気のあった二人は男心をくすぐるのだろうか。
「冗談だと思ったんだよ……」
原因をつくったのはお前だろうという目で見られる。あのあと、どんな会話があったんだ。
無事、変顔選手権イベントは起こらなかったようだ。顔が固定してしまった奴らが仲間と共に旧校舎に駆け込んでくるはずが、まったく来ない。おそらく俺たちの知らない間に、ただ皆で変顔をして遊ぶだけのイベントに変化したのだろう。
問題は、ロシアンルーレットお団子事件だ。これが……おそらく、この学園パトロール隊慰労会に変化した。
慰労されるほどの活躍はしていない。なにせ俺らは入学したばかりだ。単に「ルリルリとベル子に美味しいお団子を選んでもらおう審査会」とあからさまにするのはよくないと、パトロール隊を巻き込んだのだろう。
「ルリルリさん、もうすぐできますからね!」
「はい、楽しみにしています」
「ベル子さんっ、たぶん会心の出来ですよ」
「うん。頑張って」
隙あらばあの二人に話しかける料理好き男子たち……。俺たちと同学年の侯爵次男、セヴォルトが友人に呼びかけたようだ。
今回は一年生の方が多い。ちょうど新入生たちが仲よくなってきたところで、可愛い同学年の女の子と仲よくなれるチャンスをセヴォルトが持ってきた、というところだろう。
そんなわけで、慰労会だというのに最初に自己紹介までした。そしてどうやら、しゃべる猫であるトラを気になっていた奴も多かったらしい。
「ほんとにトラさんは、なんでも食べられるんです?」
「にゃーは特別な猫にゃん。なんでも持ってこいなのにゃん」
「だそうよ。私が保証するわ」
トラもマスコットキャラとしてチヤホヤされている。丁寧語で話しかけられているのは、オリヴィアが抱いているからだろう。王子である俺の仲間だという認識のせいもあるのかもしれない。
オリヴィアも貴族以外の生徒が話しかけにくい雰囲気をまとっていたものの、トラのお陰で他の生徒とも交流をするようになってきたようだ。
隣にいるラビッツに話しかける。
「ラビッツ、ごめんな。お前に話しかける男がいないのは俺の婚約者だからであって、モテないわけじゃないからな」
「はぁ!? 分かっているわよ。なんなの、私が物欲しそうにしていたっていうの」
「い、いや、一応フォローしておこうかと」
「いらないわよ。うるさいのよ」
機嫌が悪いな。なんだかんだ言って、やっぱりモテたいのか?
「ニコラも……食べるのよね」
「まぁ、そうなるな。生徒の手作りではあるけど、事前に知らされていたからな。黒子が下調べはしているだろう」
さすがに、学園に毒見役はいない。おかしなものを生徒たちが入手していなかったか、調査はされているはずだ。
「あんた、クッキーは好きなの」
「へ? クッキー? まぁ、甘いものは好きだな」
「それなら、まずはこれを食べなさいよ」
「???」
突然ラビッツの顔が赤くなって震える手で鞄から小さな紙袋を取り出すと、そこからクッキーを一枚、俺の口に押し付けた。



