転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜

「パトロール隊の活動、すごく楽しそうだね」
「ああ。顧問の言ってた通りになったな」

 ニコラとは学科が違うことだし、俺はパトロール隊室に入る前に、いつもこの旧校舎の屋上へ寄ってセイナに会っている。入口近くを上から眺めながら雑談し、パトロール隊のメンバーが集まった頃に俺も部屋へと入る。

 案外皆、上は見ない。

「先生も、トラちゃんのことは意外だったみたい」
「そうなのか?」
「ネコキャラがいるとは聞いてないな……とかなんとか言ってた。なんだか寂しい。先生だけは、私と同じものを見てるんだってずっと信じてたのに」
「前世を覚えていると」
「うん」
「俺も寂しいよ。俺の知ってるニコラとラビッツとはさ、やっぱり少し違うんだよ」
「あははっ、寂しい同盟だね」

 伊達に幼馴染をやってたわけじゃない。というか、ニコラは隠さなさすぎる。『飯の美味い世界でよかった』とか、隠す気があったら言わねーだろ。

「ま、バカなままだけどな」
「いいな、羨ましい。私には仲のいい友達なんていなかったから」
「そうなのか?」
「うん。学園でも、仲がよくなる前に……ね」

 こんなに毎日のように会っているのに、まだセイナについて何も知らないんだなと思う。

「変な丁寧語を使うからか? 今はなくなってきたけどな」
「し、失礼だよぉ。だって、私すぐに距離感間違えちゃうから。それで引かれちゃって、ひとりぼっちになっちゃうの。だから、気をつけようとしてるんだよ」
「そんな理由か」
「うぎゅぅ……」

 金持ちの愛人の子。
 母親も奔放。

 父親の金でお手伝いさんが世話をしてくれたものの、愛に飢えている。だからこそ、距離感を間違えるんだろう。

 家庭教師もつき頭はよく魔法の才能もあったので、学園に入って学園警備隊の話を持ちかけられ、ニコラの父親と共に活動し……死亡、か。

「ま、話したいように話せばいいさ。皆、いい奴らだしな。距離感だっていくらでも間違えたらいい。フォローしてやる」

 そういえば、ルリアンも丁寧語で話す。あっちは祖父母にそう教育されたらしい。家族相手でも誰に対してもそうするようにと。もう癖だと言っていた。