「ハァ……」

口から自然とため息が出てしまう。今週も仁くんと顔を合わせることがなかった。捜査が忙しいみたいで、LINEもほとんど返信は返ってこない。

胸の中にグッと何かが込み上げてくる。その正体に気付いて、私は少し戸惑った。誰かと付き合っていてこんな気持ちになるのは初めてだ。

「寂しいな……」

ポツリと呟くと、もっと寂しくなってしまう。今すぐに仁くんに会いたい。仁くんに触れたい。仁くんと話したい。そんな気持ちが次々に顔を出す。

こんなにも寂しくなってしまった原因は、つい先程まで友達の結婚式に出席していたからだろう。幸せそうな新郎新婦をずっと見ていると、仁くんから何の連絡もないことに不安になってしまった。

(仁くん、本当に仕事なのかな……)

本当は仕事じゃなくて、別の女性と一緒なんじゃ。そんなことを一瞬考えてしまい、慌てて首を横に振る。

「ダメだよ、そんなこと考えちゃ!自分が疑われたら嫌でしょ!」

仁くんと連絡が取れないのは、彼が私や他の一般市民の平穏な日常を守るために尽力しているからだ。こんなことを考えるなんて最低すぎる。