開きっぱなしになっているカーテンから太陽の光が容赦なく差し込み、朝が来たことがわかる。警視庁の会議室のテーブルの上で寝返りを打った。当然寝心地は悪く、体のあちこちが痛ぇ。

「あ〜、朝か……」

風邪引いた時みたいな枯れた声が口から出た。すると頰に冷たいものが当たる。

「冷てぇ!」

「おっはよ〜、仁くん」

俺の頰に冷えた缶コーヒーを押し付けて、同期の梶原(かじわら)がニコニコと笑う。梶原の手にはコンビニの袋があり、その中からパンやおにぎりなどを出してテーブルに並べた。俺ヘの朝飯を買ってきてくれたというわけだ。女の尻ばっかり普段は追いかけているような奴だが、面倒見はそれなりにいい。

「サンキュー。ちょうど腹減ってたんだわ」

俺は近くに置かれたあんぱんを手に取り、袋を開ける。あんぱんに齧り付いていると、梶原がニコニコしながら訊ねた。

「昨日も警視庁に泊まったわけ?愛しの彼女ちゃんがいる部屋にはずっと帰ってないんでしょ?寂しがられてない?」