「藍、今から出掛けられるか?」

「えっ?」

予想していなかった言葉に私は聞き返す。仁くんは、少し頰を赤くしながら私の手を優しく取った。

「ずっと二人で出掛けられなかったからな。ちょっと行こうぜ。な?」

仁くんはどこか必死に見えた。何だろう。別れ話ならここですればいいのに、もしかして、最後の思い出でも作りたいってこと?

「……わかった」

私はそう答え、バッグを手に取った。