聞き込みに行くために立ち上がる。全ては、藍と多くの一般市民の平穏で幸せな日々を守るためだ。



それから数日後、俺は進展しない捜査状況に苛立ちを募らせていた。証拠はそれなりにあるっていうのに、容疑者リストの奴らは「知らない」の一点張り。椅子に座ってるだけの上の連中は「早く事件を解決しろ」とうるせぇし……。

「クソッ!!」

喫煙所でタバコを吸いながら怒りを鎮めようとする。藍と付き合うようになってからやめたタバコは、ここ最近また吸うようになってしまった。

「早くあいつに会いたいのに!!」

誰もいない喫煙所に俺の声だけが響く。その時だった。内ポケットのスマホが振動する。

聞き込みに行っている奴らからか、と期待してスマホを手にした。しかしそこに表示されていた名前は藍だった。

「何でこんな時に……」

藍は普段、俺の仕事をわかっているから電話なんてかけてこない。電話をかけるのはいつも俺からだった。この忙しい時に一体何だ。俺は電話に出た。

「……何?」