今井さんの家族に連絡を取ったところ、数週間前に社員旅行で東南アジアを訪れたそうだ。その際、今井さんはホテル周辺にいた野良犬に噛まれたらしい。検査の結果、狂犬病ウイルスが検出された。
私は薄暗い病院の一室で震えていた。私は今井さんの採血中、針刺し事故を起こした。狂犬病に感染している可能性がある。致死率は100%だ。体の震えが止まらない。
「仁くん……」
浮気をされているのに、仁くんの名前を呟いてしまう。不安で心がいっぱいになって、涙が止まらなくなっていく。耐えられず、私は仁くんに電話をかけていた。仁くんの声を少しでも聞きたかった。「大丈夫だ」と言ってほしかった。
(あんなに泣いたのに、私は仁くんに縋るしかないんだ)
そう一瞬思ったけど、今は心から愛した人の声を聞きたかった。嘘偽りで固められた言葉でもいいから、慰めてほしかった。
『……何?』
電話で久しぶりに聞いた仁くんの声は、少し不機嫌そうだった。犯人の手がかりをまだ掴めていなくてイライラしているのかもしれない。私は息をゆっくりと吐き、言葉を喉の奥から出す。
私は薄暗い病院の一室で震えていた。私は今井さんの採血中、針刺し事故を起こした。狂犬病に感染している可能性がある。致死率は100%だ。体の震えが止まらない。
「仁くん……」
浮気をされているのに、仁くんの名前を呟いてしまう。不安で心がいっぱいになって、涙が止まらなくなっていく。耐えられず、私は仁くんに電話をかけていた。仁くんの声を少しでも聞きたかった。「大丈夫だ」と言ってほしかった。
(あんなに泣いたのに、私は仁くんに縋るしかないんだ)
そう一瞬思ったけど、今は心から愛した人の声を聞きたかった。嘘偽りで固められた言葉でもいいから、慰めてほしかった。
『……何?』
電話で久しぶりに聞いた仁くんの声は、少し不機嫌そうだった。犯人の手がかりをまだ掴めていなくてイライラしているのかもしれない。私は息をゆっくりと吐き、言葉を喉の奥から出す。


