今井さんの腕を採血帯で縛り、血管を探していく。いい血管を発見した。診察室の蛍光灯が私の耳元のピアスを照らした。

「では、今から血を取っていきますね。チクッとしますよ」

そう言い、血管に針を刺していく。赤血球が壊れないようにゆっくりと血を抜いていく。その時だった。グッタリとしていた今井さんの体が小刻みに震え出す。私は驚いて顔を上げた。

「今井さん?」

「あっ……ああっ……光だ……う、あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

今井さんはいきなり立ち上がった。手足をバタつかせて暴れ出す。その暴れた弾みで、私の手に注射器が刺さってしまった。最悪だ……。

「痛ッ!今井さん!落ち着いてください!」

今井さんを慌てて看護師さんと一緒に宥めようとする。でも、今井さんに私たちの言葉は届いていなかった。血が腕からポタポタ落ちていくのも気にすることなく、ただ暴れている。私と看護師さんじゃどうすることもできない。

「先生!守衛さんを呼んできます!」

看護師さんがそう言い、診察室を出て行った。私は今井さんに「落ち着いてください」と声をかける。今井さんは時々白目を剥きながら喚いていた。