指輪は二人で散々話して、結局ドラマなどでよく出てきそうなダイヤモンドのついたものにした。店員に指輪の入った箱を渡された時、緊張して手が震えた。

「藍、喜んでくれるといいな」

「絶対喜ぶって!あたしが保証する〜」

緊張した俺の肩を神崎が容赦なくバシバシ叩く。だが、その痛みなど何とも思わなかった。今はただ、プロポーズをする時のことばかりを考えていた。

「プロポーズ、どこでするつもり?」

「えっ?普通に家とか?人前は恥ずかしいし」

「いやいや、プロポーズでしょ!特別な思い出にしないと!」

男勝りな神崎にプロポーズのことまで言われてしまった。でも、人生に一度しかないことならやっぱり特別な演出をした方がいいのかもしれない。

胸の中がジワリと温かくなっていく。藍への想いが込み上げてきた。

「早く渡してぇな」

ポツリと呟き、俺はそのまま藍と暮らす部屋ではなく警視庁へと戻った。