(凹凸はほとんどないけど、あの体のラインは間違いなく女性だ!)

指先が冷たくなっていく気がした。仁くんは、ボーイッシュな女性と楽しそうに話しながら何かを選んでいる。女性が指に指輪をはめた。ーーーダイヤモンドのついた指輪だ。

「……最低」

気が付けば私は泣いていた。泣きながらその場を走り去る。私には連絡も碌にくれないのに、家に帰って来てくれないのに、他の女と指輪を楽しそうに選んでいたなんて……!

さっきまで胸の中にあった寂しさが、まるで吹雪でも訪れたかのように凍り付いていく。涙だけがただ止まらない。

どうやって家に帰って来たのかわからなかった。布団の中に潜り込んで、私はずっと泣き続けた。私は仁くんとの未来を真剣に考えていたのに、仁くんは別の女に夢中になっていたなんて……!

「大嫌い」

布団を強く握り締める。仁くんは、今日もこの部屋のドアを開けることはなかった。