その夜、
パブで夕食を共にしながら、
ミレーヌは初めて素直な言葉をこぼす。

「私は……王族が嫌いなの。民の痛みを知らないくせに、平和を語るその口が偽善に思えてならないから。」
「以前の俺はまさにそんな王族だった。世の中のことなんて何も知らないくせに、偉そうに“守っているつもり”でいた。
でも今は違う。様々な国で出会った人々が、そして最後に君が教えてくれた。"真の王の意味"を。」

ミレーヌの瞳に涙が光った。
「私、あなたがどんな皇帝になるのか、興味が湧いてきたわ。」
「では、ずっと隣で見守ってくれないか。そして私と一緒に理想の国へと導いてほしい。」

フィリップはミレーヌに2回目のプロポーズをした。
ミレーヌは逡巡した後、
恥ずかしそうに頬を染めて頷く。
「ハイドランジアが私を受け入れてくれるなら。」