旧校舎のあの子

この廃院は街のどこにいても見える位置に立っていますが、こんな真夜中にこんなに至近距離をでその姿を見たのは初めての経験でした。
丘を上がって廃院に近づくにつれてその陰は濃く、深くなっていくように感じられて、なんだか自分の足元さえもおぼつかなくなってきました。

月明りだけを頼りに進むうちに、スマホを持って来なかったことを後悔し始めていました。
せめて、ライトを持ってくればよかったんです。

でも今更家に取って返すわけにもいきません。
私は震えそうになる両足を叱咤して前へと進んでいきました。
廃院の目の前までたどり着くと錆びた門には南京錠がかけられているのが見えました。