好きバレ! 俺様上司の溺愛が止まりません!

 会話を聞かれていたのではないかと、ひやりとする。

「いいや。蒔田くん、お茶は飲むかい」

「遠慮なく頂きます」父のパジャマを着、タオルを首からかけた蒔田が彼女の横に回り込んだ。

 男のひとの風呂あがりを、『色っぽい』と思ったのは初めてだ。

 上気した白肌がなんとも艶っぽい。

 無造作な黒髪なんか、手で触ってかきまわしたい。隙だらけの髪型。

 お茶を飲みつつ、上目遣いで蒔田を見ると、なんと、蒔田がウィンクしてきた。台所で茶をいれる父親の目を盗んで。

 彼女は卒倒しそうだった。

(ばっ)叫びそうだった。

 叫んで、そして抱きつきたかった。なんてことするの。こんなところで、もう。

 それができないのだから、下を向いて、悶々とした気持ちを抱いたのだった。


「蒔田くんは石川の出身だったね」

「はい。実家は、旅館をしています。良かったら今度、泊まりに来てください」

 滅多に聞けない蒔田の社交辞令。

 彼女は、しばらく、二人の会話を傾聴することにした。