鏡の中の偽証者

今日とても憂鬱だった。

授業が終わるたびに、クラスメイトは転校生の席を囲んだ。

特にシン君たちのような男子生徒の割合が多い上、彼らにはだらしない笑みが滲み出ていた。

隣の席であるため、強引に身を乗り出してきた男子の腕がぶつかったり、僕の机にもたれ掛かったりするなど、僕の想いは気にも留めない様子だった。

放課後になれば、教室から人影は徐々に減り、気が付いた頃には残り2人となっていた。

「ねぇねぇ、ヒロリ〜ン」

「....サユ....さん....」

残っていた1人、おっとりとした口調で人を自分なりに決めたあだ名呼びする少女、神楽《かぐら》サユが声をかけてきた。

「あの..その言い方というか..呼び名....」

辞めてほしい....。

伝えたい一言が、喉元で絡まって声にならない。

「えっまだ慣れてないの?別に悪気があって言っている訳ではないよ。その方が”人との壁”みたいなものがなくて、互いに接しやすくなると思わない?」

「..さぁ....どうなんだろうね....」

”人との壁”

それはクラスで影のような存在である僕は、厚い壁のある人ばかりで、対等に話せる人はいない。

そのため、彼女の問いに対する答えが分からなかった。

「まぁ何でもいいけど。今日バイトだから部活..よろしく頼むねぇ」