それでもそう……それは恋生の人生を狂わせてしまうことになりますから。わたくしの望む道ではございませんでした。恋生は、恋生らしく、与えられた人生をまっとうして欲しい……それが、血を分けて離れ離れになった、わたくしのたったひとつの願い。恋生さえ幸せに生きて暮らせるのならば、わたくしの人生などどうだっていい。そう思えるほどに、わたくしたちは分かり合っていたのです。
――あなたが現れるまでは。
*
「あなたは五尻禅雨として、恋生は、存国理生として振る舞った。あなたは、自分たちの関係が大人に分からぬように、眼鏡をかけた。わたしが恋をしたのは、眼鏡をかけていなかった、女の子のふりをしていた恋生のほうだった」
目に鮮やかな、青の帽子。それは、恋生のイメージと重なる。
目の前でソファに座る、池水恋乃は、黙って私の話に耳を傾ける。優雅にカップの紅茶なんか飲んだりして。
「それで。どこまで思い出せましたの?」
――あなたが現れるまでは。
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「あなたは五尻禅雨として、恋生は、存国理生として振る舞った。あなたは、自分たちの関係が大人に分からぬように、眼鏡をかけた。わたしが恋をしたのは、眼鏡をかけていなかった、女の子のふりをしていた恋生のほうだった」
目に鮮やかな、青の帽子。それは、恋生のイメージと重なる。
目の前でソファに座る、池水恋乃は、黙って私の話に耳を傾ける。優雅にカップの紅茶なんか飲んだりして。
「それで。どこまで思い出せましたの?」



