花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~

 でなければ貴様をいますぐ、このビルの谷間の下に叩き落してやる。

 挑むような川瀬花子の立ち姿から情熱的なオーラが漂う。
 
 あの頃とは違う、リップの塗られた質感のある唇が動く。「……それにしても、あのときとはまるで別人ですね。禅雨」

 *

「なぜ、その名を……」

 いかにも経営者らしい妖艶な笑みを浮かべる神宮寺恋乃。いや、池水《いけみず》恋乃。

「立ち話もなんですので。失礼しますね」と先に座る私。近づき、私の正面に座る、いかにも高級なオーダーメイドのスーツを着こなす恋乃。体にフィットして着心地がよさそうだ。スーツで自身を武装しているように見える。「あなたは、……私と出会う前から恋生と連絡を取り合っており、大人の知らないところで、ちょっとしたいたずらをしかけた」

 肩にかけていたショルダーバッグから手帳とペンを取り出す。私たちの間のテーブルにこう書きこむ。

 ZINGUJI REO。

「これを並び替えると……」

 GOJIRI ZENU。五尻《ごじり》禅雨《ぜんう》。