花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~

 少なくとも、――神宮寺の名を名乗ってはいなかった。それはアユちゃんも言っていた。

「不思議なんよねー。写真にも残っておらんさけ、あんま印象に残っておらんのよー。神宮寺財閥の子がおったらすーぐに分かりそうなものなんにねぇ」と電話口でアユちゃんは語った。「ざん、じん、……やったっけ。変わった苗字の子がふたりおった気がするげけど……昔のことやしね。なんか、日記とか、昔の残っておったらまた電話するわ」

 写真をギャッベのうえにいっぱいに広げ、ひとつひとつを見て、考えようとする。

 電話が鳴った。すぐに出る。「……はい」

「ああ、花やね。あのなぁ、帽子の子たちのことやけど、……待ってな。日記開いてみっから」こちらの意図を察してか慌てた声のアユちゃん。「苗字が……ゾングイ? やったっけ? あのあと宗教団体のひとに電話して聞いてみてん。

 青い帽子の女の子が存国(ぞんぐに)理生(りじぇ)で、……緑の帽子被っとる男の子が五尻(ごじり)……禅雨(ぜんう)っつうね。ちょっと変わった名前しとるね」

 その名前を聞いたときに、頭のなかでなにかが閃いた。