花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~

 改めてじっくりと写真の一枚一枚を眺める。……なんと、自分の記憶が欠落していたこと。

 ふたり、いる。正確にはふたり。

 ひとりが緑の帽子を被った男の子。もうひとりが、青い帽子を被った女の子。

 迂闊だった。ふたり、いたとは。しかも、こういう事態を想定していたのか、二人とも顔写真がないのだ。

 小学校高学年だからスマートフォンなんて持っていなかった。あの頃はまだガラケーが主流だった。写ルンですを持ってきた友達が何枚か写真を撮ってくれてそれで……。

 だから、携帯電話に写真は残っていない。母が能登から送ってくれた写真が頼りだ。それと――。

「アユちゃんが送ってくれた写真にも……あなたの顔写真は残っていない」

 ――女の子やのに青い帽子なんて変わった子やと思ってんよ。あんときから。

 アユちゃんの記憶力に感謝をする。

 全員綺麗に写真に収まっているというのに、このふたりだけは顔を映さない。小学四年生の頃なんて、男女の体格差なんてほぼないし、どちらが男の子でどちらが女の子なのかすら分からない。二人とも半ズボンを履いているから。