*
「ご褒美にディナーでもご馳走と思ったのに、敢えてここを選ぶんだね」
一緒に台所に立つあなたが言う。いつもの、黒いエプロンを締めて。
場所は、住み慣れた古いアパート、狭い1Kの一室。ここからすべてが始まって、いまに繋がっていく。
「私をよくしてくれたあなたに感謝をしているから、……手料理を振る舞いたくて。ね、ちょっと味見してみて?」
爪楊枝で突き刺したじゃがいもをはふはふ言いながら食べるあなたは満足そうに、
「うん。美味しい」
その顔が見たかったんだよ。恋生。
*
「ビジネスの話をすると、……ぼくは業務時間の二割程度を「Smile Abroad」の仕事にあてているかな。だいぶ、メンバーのあいだでマインドが育っているし、そろそろ手を引くタイミングだと思っていたんだよ。規模も充分だし、それなりの実績もあげている。
だが、新たな刺激が欲しいと思った。
花。きみは、留学経験はない。驚いたことに、あの田舎で国立の理系大学に入学を決めつつ、独学で英語力も身に着けた。卒業旅行で一ヶ月ヨーロッパに行ったことは知っているが、高校時代に既にTOEICは900を超えている」
私の履歴書及び職務経歴書を見たあなたは知っている。
覚えている。「公私ともにパートナーになって欲しい」とあなたは言ってくれたね。
「ご褒美にディナーでもご馳走と思ったのに、敢えてここを選ぶんだね」
一緒に台所に立つあなたが言う。いつもの、黒いエプロンを締めて。
場所は、住み慣れた古いアパート、狭い1Kの一室。ここからすべてが始まって、いまに繋がっていく。
「私をよくしてくれたあなたに感謝をしているから、……手料理を振る舞いたくて。ね、ちょっと味見してみて?」
爪楊枝で突き刺したじゃがいもをはふはふ言いながら食べるあなたは満足そうに、
「うん。美味しい」
その顔が見たかったんだよ。恋生。
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「ビジネスの話をすると、……ぼくは業務時間の二割程度を「Smile Abroad」の仕事にあてているかな。だいぶ、メンバーのあいだでマインドが育っているし、そろそろ手を引くタイミングだと思っていたんだよ。規模も充分だし、それなりの実績もあげている。
だが、新たな刺激が欲しいと思った。
花。きみは、留学経験はない。驚いたことに、あの田舎で国立の理系大学に入学を決めつつ、独学で英語力も身に着けた。卒業旅行で一ヶ月ヨーロッパに行ったことは知っているが、高校時代に既にTOEICは900を超えている」
私の履歴書及び職務経歴書を見たあなたは知っている。
覚えている。「公私ともにパートナーになって欲しい」とあなたは言ってくれたね。



