海我よりもはるかに恵まれたブルジョアの人間で、私みたいな庶民の気持ちなんて分からないはずなのに。こうしてここに戻ってみると、あの頃。病に臥せっていたあの頃、私を懸命に支えてくれたあなたの努力が思い出される。あんなにも寄り添ってくれて。若い男女が過ごすというのに、一緒の布団に入って抱き締めるだけで、全然手を出さないで。年頃の男の子がそれをするのはかなり大変だったろうに……。あなたは欲の強いほうだから。
一緒にほぼ三年間を過ごした宝物のような日々よりも、つい最近までの苦しさや、立ち直れたときの喜びが強いのは何故だろう。……自分で選んだ道だから。田舎だから。地元の高校に進むしか選択肢がなかったあの頃と比べて、いまは、どこに住んでなにをするのも自由。
……あなたの言っていた意味が分かった。緑川に住んでいた頃と比べると、なんでも自由に選べるこの人生。
立ち止まっている場合ではない。――うし。
一緒にほぼ三年間を過ごした宝物のような日々よりも、つい最近までの苦しさや、立ち直れたときの喜びが強いのは何故だろう。……自分で選んだ道だから。田舎だから。地元の高校に進むしか選択肢がなかったあの頃と比べて、いまは、どこに住んでなにをするのも自由。
……あなたの言っていた意味が分かった。緑川に住んでいた頃と比べると、なんでも自由に選べるこの人生。
立ち止まっている場合ではない。――うし。



