花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~

 内心では母が父に愛想をつかすのではないかと心配な時期でもあった。どんな家庭であっても、存続しているだけで、子のこころを安定させる側面はある。離婚や別居を否定するつもりはないが、中学では、誰かしらをひどくいじめている連中は、親がだいたい離婚していている不良ばかりだったので。少なからず偏見はあった。

 あんな連中と一緒にされたくなんかないから、どうか、離婚しないで。

 毎日毎日、学校帰りの道で、どうか、お母さんが父を捨てませんようにと。祈って、祈って過ごした日々だった。

 私が地元の県立高校に無事合格を決めた頃から、父の作品が再評価され始め、ぽつぽつと、父に執筆依頼が来るようになった。母の顔も穏やかになった。手料理が格段に美味しくなり、荒んでいた家の空気がましになった。