花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~

 残酷な揺れ。引き裂かれたこころ。一向に飛ばない飛行機。いつ、本土に戻れるのか分からないことへの苛立ち。北海道にいた私たちは、日本がどれほど深刻な被害に見舞われているのかを知らないままに、石川行きの飛行機をただ待った。空港周辺のホテルはすべていっぱいで、一時期避難所に避難をしていたらしい。詳しく思い出せないのは、……私なりにショックを受けていたからだと思う。母とふたりで狭い段ボールのなかに押し込められ、寒い寒い夜を過ごした。カップラーメンが美味しく感じたのを記憶している。こんなにも美味しいものがあるのかと。

 いままで当たり前のように手に入れていた暮らしが実は貴重なもので、誰にでも手に出来るものではないと、知らされたあの頃……。実際自分も被災し、被災地の生活がどれほど大変なものなのかを思い知った。隣の段ボールのなかに住むおじいさんの独り言やいびきがうるさくて本当に、ノイローゼになりかけた。それから余震も怖かった。