花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~

 一応、緑川に住む必要はあるが。職人と顔を合わせる仕事なので、オンラインだと伝わり切らないものがある。対面で腹を割って話すことを大事にしている。それは東京のたとえば百貨店に対しても同じで。俺は、ビジネスとして、緑川塗を日本中に広める活動をしている。

「……私の意志を尊重してくれているんだと思う……」

「けど、……ごめん。俺が口出せる問題じゃないけど……おまえ、あんなに賢くて頭がよかっただろ。アホだった俺ですらちゃんといまはビジネスをやれているんだ。おまえだったら、ポテンシャルもあるし、仕事が出来るに違いないし、派遣なんかじゃ勿体ないだろ。……別に将来的におまえがそいつに食わせて貰って生きていくつもりなら構わんが、花は、そういう女じゃなかっただろ?」

 父親はアルコール依存症の食いっぱぐれた小説家。母親はそんな夫を支え、健気に近所の病院で働く。

 経済的に余裕がないからこそ、花は、ボロアパートに住んで、いまも奨学金を返しているはずだ。

 そこまで苦労して進んだ道なのに何故。派遣が問題だというのではない。花のよさを生かし切れていない仕事、そこに問題がある。