花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~

 あなたはリビングに入ると、わたしの前を通り過ぎて、上着を脱ぎ、「あの男と会っていたんだってね」と言う。

 鍛え抜かれた肢体が浮かび上がるワイシャツ姿に見惚れている場合ではなくて。

 ……あの男。

「言ってくれてもよかったのに。そんなに悩んでいるんだったら。僕はそんなに信用ならない?」

 あなたは、上着をテーブルのうえに置くと、わたしを見据える。

 ……そんなあなたの目は、見たくなかったよ。

「そっちこそ。怒っているなら素直に言えばいいじゃない。なんでそんなもったいぶった言い方するのよ」

 テーブルに置いたあなたの両手から伝わる怒り。

「花が、別に、他の男とちょっと飲みに行くくらい僕はどうとも思わない。……問題は、悩んでいることを、僕ではなく、あいつに先に話したことだ。正直にね、嫉妬している」

 可愛いところあるじゃない。

 ……などと言える空気ではない。

「花は、……別に働かなくても、食わせていけるだけの稼ぎはしているつもりだ。ただ、あくまで花が、……花の意志で働きたいと思うのなら、その意志は尊重したいと思った。それだけのことなんだ。……それが」

 拳を握り固める。その手がふるえている。

「なんでこんなことになっちまうんだ……くそ」

 あなたのそんな様子はいままでに見たことがない。ただならぬなにかを感じた。

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