花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~

 おれは、花の婚約者として、花のことをきちんと見られていたのか? 見落としていなかったか。見て見ぬふりをしていなかったか。

 この男の登場で僕は突きつけられることとなる。――花に対する愛情を。

 *

(遅いな……。いままでこんなことはなかったのに)

 もう夜の十時を過ぎている。

 基本的に、早めに帰宅するあなた。遅くなるなら必ず連絡をくれるのに。どうしたのかな。大丈夫だろうか。まさか……事故とか……。

 ううん。そんなはずないもん。基本移動は車だし、お抱え運転手の運転する車で安全に移動しているはず。

 わたしを真に愛する神宮寺恋生という男が、わたしを不幸せにするはずがない。

 信じて、でも気になって、それでも落ち着かず、ダイニングにて座って待つ。あなたの帰りを。

 がたん、とようやく玄関から物音がしたときにわたしはこころからほっとした。……けれど。

 あなたは、浮かない表情をしていた。

「おかえりなさい。……恋生、大丈夫?」

「ごめん。ちょっと、手洗いうがいしてくる」

 なに、いまの言い方。あなたにしてはちょっと声が険しい。

 ……どうしたのだろう。