花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~

 よって、セミナーの後は質問者の列が必ず出来る。質問内容はだいたい似ているので、だったら、きちんと与えた質疑応答の時間にしてくれれば、こちらも時間の節約になるのに、という気持ちはあれど、あくまでにこやかに対応する。これも仕事のうちだから。

 彼もそんな聴衆のひとりだと思いきや。

「――神宮寺恋生さん。花と一緒に暮らしているんですよね?」

 ざわり、と肌が粟立つ。この男――。

「申し遅れました。わたくし、高峰《たかみね》海我と言います。……実は、花と昨日会って話しまして。講演の内容についてではなくて申し訳ありません。

 ――花が悩んでいる状況を聞いて、なんとか、彼女の力になりたいと思いまして……。

 どこかで五分ほど、お時間をいただけませんか?」

 元彼氏と思われるこの男と花が会っていた? そんなことは、一言も聞いていない。

 だいたい、花は、仕事について聞かれても別に大丈夫の一点張りで、悩んでいるなんて一言も――。

 だが思え。花は、悩んでいる様子ではなかったか。