花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~

 そういえば、と思い出す。いつもあなたは、わたしの仕事の愚痴とか悩みをうんうんと聞いてくれていて、穏やかで……。

 そっか。わたしばかり話していたよね。ちゃんとあなたの話も……。

 咀嚼する。余裕がない。指摘されてしまって弱い自分。曝すのが怖い……。

 この、脆弱だけれどちゃんと繋がったはずの関係性を壊すのが怖い。

 こうしてわたしが迷っているあいだも時は進んでいく。――そして。

 すぐに打ち明けなかったことを後悔する日は間もなくして訪れる。空が高く晴れ渡った晩秋の日だった。

 *

「素晴らしい講演でしたね。是非、一言感想を述べたくて、貴重なお時間を頂戴致します」

 セミナーの後に声をかけられるのは慣れている。

 ……というより、質問があるのなら、最初から質疑応答の時間に手を挙げればいいものを。日本人の気質。ひとまえで質問をするのを極端に嫌がる。自己アピールが下手過ぎる。