花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~

 マキノさんの手料理は時間が経っても絶品で、たまに、こうして、自分が必死こいて料理をしてみても結局負けるのだと思うとなんだか馬鹿らしくなる。どこまでも追いつけない。会社でも負け組で……。

 悪い環境ではない。前職であんなに、仕事に追われて、辛くて、毎日会社に行くのが辛くてたまらなくて、どうしようもなくて、自分の仕事がいつまでも終わらないのに、BPさんの仕事の面倒も見なければならなくて、吐きそうなくらいにしんどくて。

 でも、……懐かしいと思えるのは何故だろう。自分が狂ってしまっているのか。

 ワーカホリックだったころのほうが自分は生き生きしていた。ただの駒のひとつにすぎなくても、ちゃんと、なにかやり遂げているという実感があった。

 一方の現状。このままだと腐ってしまいそうだ。実際……。

 昨日会ったことは話せない。話せるはずがない。

 だって、海我の言ったことは……。

 いつも心地よいはずの沈黙がなんだか気まずい。せっかく、お魚を買って、ほうれん草を煮ておひたしを作って、ちゃんと、他の副菜も用意したというのに。……いつも、なにを話していたっけ。