花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~

 他の部署のメンバーもきびきびと働いて電話対応なんかしているさまを見るとますます自分が取り残された気分になる。元バーテンダーの社員も暇そうで、昼休みのたびに、「暇ですね」なんて愚痴を言いあっている。……これでいいのかわたし。

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 とはいえ、勤務地が新宿なので気分があがる。

 大都会のビルの一角で働く自分。ドラマに出てくる主人公みたいで気分がいい。

 明日は給料日。楽しみだ。傷病手当金もありがたいけれど、やっぱり、自分で働いて稼ぐほうが気分がいい。恋生に買って貰うのもいいけれど、明日は、自分の給与でお野菜お魚を買って自炊したい。マキノさんにメールしておこう。

 酒屋の前を通ると既にボジョレー・ヌーボーが売られている。もう、そんな季節になったのか。

 年賀状。そうだ、転居届とか出さないと……。会社の手続き等に追われてすっかり、忘れていた。

 店先に並ぶボジョレー・ヌーボーに、名残惜しくも背を向け、くるりと駅方面に向かったときだった。

「――花?」

 聞き違えるはずもない。このひとの声を。

「……花、だよな」

 立ち止まり、振り返る。