花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~

 北海道の湾曲した陸地の向こうに黒々とした海があり、手前側にビルや美しく装飾された建物が広がる。画家がどんなに努力をしたとて、描けないであろう世界が広がっている。

 人は多く、特に、カップルを見ると胸が痛んだ。自分が選んだ道だけれど。無性に、あなたが恋しい……。

「花」

 聞き覚えのある声に耳を疑った。まさか……そんな。

 振り返ると、世界で一番愛おしいひとの姿がそこにあった。

 あの日と同じで、真っ赤な薔薇の花束を持って、タキシード姿で。

 んもう、馬鹿……!

 迷わず飛びついた。抱き着いて、胸いっぱいに、あなたの香りを吸い込む。

「恋生。……会いたかった……」

 勝手に涙があふれてくる。昼間、ひとりで泣いたときは堪えていたのに。私の頭を撫でるあなたの手の感触があまりにも優しくて、止められないんだよ。

「ごめん。会いたくて、我慢出来なくて……来ちゃった」

「馬鹿。私も、会いたかったよ……恋生」