花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~

 決まっとるやろが! と声が聞こえてくるからまた笑った。いい気持ち。こんな……復興真っ最中の能登を訪れて、晴れがましい気持ちになるなんて思ってもみなかった。

「じゃあ、お父さん、お母さん、元気でね」

 手を振って別れた。スーツケースをごろごろ引きながら。まだ、痛ましい傷の残る能登。それでも懸命に生きようと努力している。この世界のみんなが。

 戦おう。私も生きている限り、抗おう。

 どんな運命が降りかかろうとも、生きて生きてあがいて、もがいてやる。

 最後に朝市の焼け跡に立ち寄った。一本の木。能登のひとびとを支えていた木がある日、突然倒れてしまった。地元のひとびとはショックを受けていると思う。私はどうしても最後に見ておきたかった。最後まで生き抜いた木の姿を。

 朝市一帯が火事に遭ったと聞いたときにはどうなることかと思ったし、動画で火事や焼け跡の映像を見て胸が苦しくなった。

 ただ、がれきは既に取り除かれ、ショベルカーも所々。懸命に、頑張っている。勇気を貰えた。

 こんな辛い状況でも能登のみなさんは明るい。笑顔を絶やさない。しなやかで、大地のようにどっしりと構えて。