花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~

 いまごろきみは昔ぼくの送った手紙を読んでいるだろうか。

 ぼくたちの繋がりはもっと、もっと深いところにある。あんな行為だけでは理解しえないなにかがある。そう。ずっと深いつながりが。

 運命。そんな簡単な一言では片付けられないほどの想いを抱き、きみに再会し、きみを愛する。

 自分の正体を明かすにはまだ時が早すぎる。照れくさくて、禅雨を名乗った。

 浜辺で一緒にCDを聴いたことも、砂浜を駆け回ったことも、一緒に写経したり、読経したり。あの特別な夏を覚えているのはぼくだけ。

 きみの記憶が欠落しているのはどうにもならない。だが愛することは出来る。

 こうして、きみがいない日々も、きみのことを想う。

 窓から見える都会のビルの群れを見て思う。能登は、まだ、復興の真っ最中だ。ぼくも事業を通じて能登の企業に協賛したり、出来ることはすべてしているつもりだ。

 ただ、能登には帰れていないから、現状がどんなものか、分かり切ってはいない。

 やはり、実際自分の目で見て感じることが大切なのだろう。だからきみは、帰ることを選んだ。