花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~

「花ちゃん。元気そうでよかったわ。これ、畑中で買《こ》うてきた落雁やさけ、よかったらどうぞ」

「ありがとう」

「花ちゃん。あんなぁ……」見れば母は涙ぐみ、「あんな地震があったさけ、もう、お母さん、花と二度と会えんようになるかもしれんて思ったんよ。ほんに、花が無事でなによりやわ」

 震災の爪痕がまざまざと残る能登。既に三千人以上の人間が能登を離れたというのに、いまだ、父と母は能登で暮らしている。

 震災後一時的に父と母は畑中へと住んだ。被災者向けの恵まれたホテル住まいを辞めて、わざわざ能登に帰ることを選んだ。それも、こんな海の傍の仮設住宅で……。

 なにに対して怒りを感じているのかは、きっと、話しても伝わらない。

 私も、この感情をどうしたらいいのか分からない。