花に溺れ恋に純情~僕様同期御曹司の愛が私を捕らえて離さない~

 そう。あなたがしてくれたように、私は、幸せの輪を広げられるひとになりたい。

 去り際、私は加納さんに質問をした。「加納さんは、なにを信じて生きていらっしゃいますか」

「仏さまと自分自身やのう」嬉しそうに加納さんは笑った。「いまは小さい孫がおるさけ、その世話にてんてこまいやわ。孫がおる限り、じいじは長生きせなあかんなぁ」

「そうなんですね。……今日は、貴重なお時間をありがとうございました」

「なんも。お嬢さんもどうか元気で。ほなまた」

 深く頭を下げて店を出た。外は霧雨が降っていた。晴れの日ばかり続く太平洋側に住んでいるとつい、雨の存在を忘れてしまう。そうだ。能登は、海が近いからとにかく雨が多いんだった。靴なんていつも雨でびしゃびしゃになってしまうから、スニーカーが泥だらけになって……。

(行こう)