この命のすべてで、君を想いたい

夏休みが終わり、久しぶりの登校日。


雫は少しだけ憂鬱そうに校門をくぐる。


教室に向かう途中、空の姿を見つけてほっと胸をなでおろす。


「おはよう、雫」


『……おはよう』


ついそっけなく返す雫。


空はそれに慣れたように、ニコッと微笑むだけだ。



授業の合間、
二人は廊下ですれ違うたびに、
軽く手が触れる。


空はそれをさりげなく受け止め、何事もなかったように振る舞う。


雫は小さく心臓をドキドキさせていた。



昼休み、空は学食で雫の席にやってきて、ニコニコと笑顔で声をかける。


「お昼、一緒に食べる?」


『うん……』

少し照れながらも、自然に頷く雫。


空は黙ってお弁当を広げ、隣に座ると、さりげなく雫の好物を分けてくれる。


「これ、雫好きだよね」


『……ありがと、じゃあこれあげる』

空は柔らかい目線で微笑む。
その視線に雫は胸が温かくなるのを感じた。