次の週の昼休み、
雫は窓際の席に座り、手元の昼食を前に少し考え込むようにしていた。


前には相変わらず天真爛漫な沙月が座り、沙月は手をパタパタと動かしながら嬉しそうに話しかけてきた。


「ねぇ、雫!ちょっと聞いてよ、ビックリするかも!」


雫はお箸を止め、沙月の目の輝きを見つめた。

「えーとね、私…蓮太郎くんと付き合うことになったの!」


雫は一瞬、心臓が止まったように胸が跳ねる。


なぜか先週の海辺のこと、青空柄の傘、空の優しい笑顔。それらが頭の中で一瞬にしてよみがえり、胸の奥がぎゅっと締め付けられた。





『…そっか、よかったね』

喜びを込めて返すと、沙月は満足そうにうなずく。



雫も自然と肩の力が抜ける、沙月の幸せを喜べる自分に少し安堵した。







胸の奥のざわつきは残るけれど、複雑な感情をそっと押し込む。