この命のすべてで、君を想いたい

コートを羽織り、マスクで顔を隠し、できるだけ普段通りの足取りで外に出る。



道行く人々の笑い声や買い物袋の音が、どこか遠くの出来事のように感じられた。



病院に着くと、受付の人に軽く症状を伝え、順番を待つ。



椅子に座っている間も、頭の痛みは増すばかりで、手のひらに冷たい汗がにじむ。


「……痛い、痛い、痛い」
小さく呟きながらも、誰にも聞かれないように口を手で覆う。



診察室に呼ばれ、
医師に頭の症状やめまい、吐き気を説明する。
 

医師は慎重にメモを取りながら、雫の目を見て頷く。




「なるほど……脳の精密検査をしてみましょう」

言葉を聞いても、雫は動揺を必死に押さえる。



『……わかりました』
小さな声で答え、不安で涙がこぼれそうになるのを必死にこらえた。



検査を受ける間も、誰にも知らせず、

自分だけで耐える――

それが雫の決意だった。