Existence *

「まぁ、これは俺が行きたいって言って行くようなもんなんだけど、初めは1年で話し進めてた。けど今日、上の人に2年は…って言われたから2年かな」

「えぇっ、そうなの?」

「この先の事なんか分かんねぇけど、2年は居んのかな」

「えー…そうなんだ。…ビックリした。じゃあマンションどうするのよ」

「うーん…」


それは今日2年と聞いて、どうするかずっと考えていた事。


「え、アンタあのマンション購入してんの?」

「いや、賃貸」

「2年も居ないのに払う気なの?40くらいするんでしょ?」

「いや、40もいかねぇけど。前んとこよりすげぇ落としたから。1年だったらそのままにしとこうって思ってたんだけど、2年ってなるとなぁ…」

「もう引き払いなよ。こっちに帰って来たらまた探せばいいでしょ?」

「だよな。ってか沙世さん引っ越すんじゃねぇの?」

「引っ越すわよ。って、あんな高層階住まないからね。高層階から離れるために私は引っ越そうとしてんだから」

「あー…老後の為にね」

「そうよ」


そう言って沙世さんはクスリと笑った。

だけど沙世さんはその笑みから寂しそうに俺に視線を送った。


「哲也が帰って来たら次は翔くんなのね」

「……」

「寂しいな」

「寂しいっつっても、普段からもあんま会ってねぇだろ」

「でも近くにいるって思うのと、遠くにいるって思うのは違うよ?近くだったら会えるけど、遠くだったらすぐには会えない。その違いってさ、物凄く思う気持ちが違うの」

「……」

「日本に居て会わない1年と遠くに居て会わない1年は全然違う。いつでも会えると思う1年と会えない1年の重さって違うんだよ?」

「……」

「そんな事、翔くんだって分かってるでしょ?」


きっと沙世さんは美咲と離れた5年間の事を言いたいのだろう。

会いたいと思ってもすぐに会えなかった5年。


でも、そんな美咲ともう会う事はないと思うどうしようもない感情が、ただただ切なかった。