Existence *

「ごめん…」


少し張り詰めた気を紛らわせたかった。

ここに来てどれくらい時間が経ってしまったのかも分からない。


ポケットから取り出したタバコ。

それをみた美咲は何も言わずに灰皿をテーブルに置き、椅子に腰を下ろした。


俺も同じく座り、タバコを咥えて火を点ける。

目の前の美咲は困った様に俯き、まったく口を開こうとはしない。


俺と美咲の関係が、どこでどうなって、こうなってしまったんだろう。って思っても結局は俺にたどり着てしまっていて、俺自身が悪かったって事。

あと、この一週間で何が変わるんだろうか。

美咲の返答がないって事は、もう行く意思が固いってこと。

暫く沈黙が続いてしまった。


「正直さ、」


俯く美咲に口を開く。

口から離したタバコを灰皿に打ち付け灰を落とす。


「正直、美咲と一緒に居たって言う実感があんまねぇの。出会ったからじゃ6年以上経つのにその半分も一緒に居なくて、考えてみれば1年くらいしか一緒に居てねぇし」

「……」

「でも、何でか知んねぇけど気持だけはやっぱ変わってねぇよ?この5年間の気持ち無駄にしたくねぇし」

「……」

「俺…、美咲みたいに強くねぇから一人で生きて行く自信ねぇよ」

「……」

「美咲が何も答えられなかったら別にいい。ただ時間ってもんがあって、美咲が行く前に返事だけほしい」

「……」

「それを認めた訳じゃねぇけど、これ以上俺からは何も言えねぇから。美咲が決めた事に口出しは出来ねぇから。…だから、はい」


ポケットから取り出した俺のマンションのスペアキー。

前まで美咲が持っていた鍵を俺はテーブルに置き、俺はタバコを灰皿に押し潰した。