Existence *

「話って?」


美咲の沈んだ声。

やっぱり会うと美咲しか居ないって、そう思った。


「…美咲に誤解だけはされたくねぇから」

「誤解?」

「正直、ごちゃごちゃしてんの好きじゃねぇし、その所為で美咲を傷つけた事も悪いと思ってる」

「……」


俺の事でいろんなこと言われて、傷つけて、泣かせて。

なのに俺は美咲に対して何も出来てはいなかった。

別れてこれで良かったって、そう自分に言い聞かせてたけど、やっぱり考え直すとそうじゃダメだって…


「アカネから聞いた」

「……」


息を吐き捨て呟く俺に、美咲は一瞬顔を顰めた。

あぁ、そっか。

名前言っても知らねぇか。


「あぁ、ほらアイツ。病院に居た」

「……」


徐々に美咲の視線が俺から落ちていく。

アカネの事を思い出したくないように美咲は表情を崩した。


「アイツ、美咲に会ったんだって?アイツが美咲に何をどう言うふうに言ったかは分かんねぇけど、俺アイツとは何もねぇから」

「…何も、ない?」


沈んだ声を出す美咲は再びゆっくり視線を俺に向けた。

だけど、その表情は沈んだままだった。


「あー…、付き合ってないって事。それはアイツが勝手に言ってる事だから」

「…そう」

「だからそれだけは誤解されたくねぇの」

「……」

「それに…」

「……」

「それに、あの店の女の事も悪いと思ってる。全部、全部、俺の所為だから」


だから美咲は何も悪くないし、俺らがこうなってしまったのは全て俺の所為。

美咲はもう俺の事どうでもいいって思ってるかも知んねぇけど、俺は美咲しかいないって今でもそう思ってる。