Existence *

ソファーに倒れ込んで一時間は経つ。

気だるい身体が思うように動かなくて、そのまま目を閉じる。

だけど閉じてすぐ、インターフォンの鳴る音と、ドアをドンドンと叩く音。


ここまで来れる奴は流星だろうな、と直感で分かってしまった。

しかもドンドンと叩くのは流星しか居ない。

閉じていた目を開け、玄関に向かう。


「やっぱお前かよ、」


そう気怠く呟く俺に流星はクスクス笑った。


「あ、分かった?」

「わかるわ。ドア壊れる」

「壊れねえわ、んな事で」

「で、なに?」


ソファーに再び腰を下ろして、俺はタバコを咥えて火を点け流星に視線を送る。

流星は冷蔵庫を開け、そこから2本の缶ビールを取り出した。


「まぁ、飲めよ。一本くらいなら大丈夫だろ?むしろすげぇ冷蔵庫の中ビール入ってっし。こんな飲んでお前大丈夫なのかよ」

「1日に5本飲んだところでなんもなんねぇわ」

「5本も飲めんの?」

「お宅の実香子さんが仰ってましたけど」

「実香子に言っとくわ。そんな飲ますなって」


目の前に置かれる缶ビール。

流星はプルタブを開けながら目の前のソファーに腰を下ろしビールを口に含んだ。


「で?なんか用か?」


タバコを咥えたままそう言って、缶ビールのプルタブを開ける。

視線を向け、口から離したタバコの後、俺はビールを口に含んだ。


「お前の耳に入れとこうと思ってな」

「え、なに?結婚でもすんの?」

「あー…、まぁそれも考えてる」

「あぁ、そう。おめでと」

「まぁでもアイツ看護師だから忙しんだわ」

「そらそうだろ」

「って、俺の事じゃねぇって」

「じゃあ、なに?」


灰皿に打ち付けたタバコを咥え、ソファーに背を深くつけて流星を見た。

そんな流星はビールを口に含んで俺を見た。