Existence *

「私は正直行ってほしくないです。でも美咲の意思が固くて、だから今ではそれを受け入れようと思ってます。だって美咲が決める事だから」

「……」

「だから、私がどうこう言う立場じゃないなって最近は思ってます」

「……」

「でも美咲が行く前に芹沢さんには、美咲に違う事は違うって訂正してほしいです」

「……」

「私。長年、美咲と居るから美咲の気持とか考えてる事とか、なんとなくわかるんです。美咲には誤解したままじゃなく、スッキリとした気持ちで行ってほしいって思うから」

「……」

「日本に居るのが疲れたって言う気持ちのまま行ってほしくないんです。ほんとお節介って思われてもいいです。自分でもお節介って思ってるから」

「……」

「私は美咲の事が好きだから。だから今では楽しく行ってほしいって思ってます」

「……」

「それだけ言いに来ました」


頭を下げて出て行った葵ちゃんに何も言う事が出来なかった。

むしろまだ俺の心の整理がついてはいない。

ペットボトルに残っている水を飲み干し、一息ついて、頭を抱えた。


美咲が海外に行く。

そして、もう帰って来ない…


俺が行く海外は1年だけど、美咲はずっとあっちに住むって事?

日本が疲れた――…

そう思わせたのはもちろん俺の所為で、俺が全て悪い。


だから行くんだろうか。

それ以外、美咲があっちに行く理由が分からない。


多分、きっと。

美咲も離れた海外で、俺も1年海外に行く。

むしろ今の所、1年だけど、向こうに行ったら実際のところは分からない。

2年になるかもしれない。


きっと、このまま2度と会う事もないだろう―――…