Existence *

「はい、どーぞ」

「有り難うございます」


目の前に置いたグラスを葵ちゃんは手に取り、それを口に含む。

そして俺もその前の椅子に腰を下ろした。


「香恋は元気?」

「元気です。この前、芹沢さんに連れて行ってもらった水族館が相当楽しかったのか買ってもらったクジラとペンギンのヌイグルミでずっと遊んでるの」

「そう。良かった」

「忙しいのにありがとうございました」

「ううん。俺も香恋と遊べて楽しかったし」

「すみません。何から何まで甘えてしまって、」

「え?俺何もしてないけど」

「あー…仕事?紹介してもらって」

「あぁ。全然いいよ。…で、話しってなに?」


一瞬目が合った葵ちゃんはスッと俺から視線を逸らす。

まるで、物凄く言いにくそうな雰囲気をか持ち出すその表情に俺は小さく息を吐き、ペットボトルを掴んで水を喉に流し込んだ。


「あの、…一つ聞いてもいいですか?」

「なに?」

「元カノと付き合ってるって、ホントですか?」

「え、ごめん。なんのこと?」


突然すぎてビックリした。

元カノ?

付き合ってる?

なにが?


「え、付き合ってるんですよね?それって美咲を忘れるために?」

「ごめん。葵ちゃんの言ってる事が分かんねぇんだけど」

「違うって、ことですか?」

「違うも何もなんでそんな事になってんの?誰に聞いた?」

「美咲から…」

「は?美咲?…いや、ちょっと待って。俺、美咲とは会ってないしそう言う話も一度もした事ないんだけど」

「あ。やっぱ違うんですね、…そうですよね」

「って言うか、なんで美咲が?」

「元カノって人から聞いたって言ってました。その人が芹沢さんとより戻すって」

「…え?どゆこと?二人は会ったって事?」

「ですね」


まった、めんどくさい事いいやがって。

ってのが率直に思った言葉だった。

何がどうなって、そうなった?


まじで、茜の奴――…