Existence *

「そう。ほんとに嫌いだった。面と向かって、別れてとか、近づかないでほしいとかも言われてたし…」

「……」

「だから蒼真によく疲れたとか、しんどいとか、もう嫌って、よく言ってた。だから彼女の気持ちわかる。きっと彼女はまだ翔くんの事が好きだよ?」

「……」

「翔くん、それでいいの?」

「俺はこれでいいと思ってるし、そこに執着する必要もないと思ってる」

「…そう。決めるのは翔くんだから何も言わないけど。だから海外に行くの?」

「違う。それはこの仕事に携わった時から考えてたから。だから別れたから行くとかではない」

「もし付き合ってたらどうしてた?」

「…連れて行こうと思ってた」

「そう。適当に考えてないその気持ちが聞けて良かった」


桃華さんが先に帰って行ったあと、俺は車に乗り込んでタバコを咥えた。

咥えて火を点けて、その煙を少し開けた窓の隙間から吐き出した。


それは決して別れたから海外に行く。とは違う。

桃華さんに言ったようにこの仕事に携わった時から、少しづつ思っていた事。

美咲と一緒に居る時は、もちろんどうしようか悩んだけど、最終的な答えは一緒に連れて行く事だった。


でも今は、この事を話す前に別れているのが好都合だったと考えるようになっていた。

いつの間にか海外に行くが、これで良かったと思うようになっていた。


避ける。とは違くて忘れたいの方が大きかった。

きっと俺と居る事で、美咲はこの先もずっと困るだろうと。


だけど、香恋に聞かれた美咲の事で、また複雑な気持ちが溢れだしていた。