Existence *

「ちょっと、なによあの女!あんな女ここに連れて来ないでよっ!」


いつも以上に実香子の怒った声が病室に反響する。


「俺が連れて来たんじゃない。勝手に来た」

「勝手に来たとしても、なんなの、あの女!しかもめっちゃ胸見えてんじゃん、翔くんあんな女が好きなの?」

「俺がいつ好きっつった?」

「この前の高嶺の花みたいな女もそうだったけど、あの女も頭おかしいよっ!翔くんが美咲ちゃんと別れたのは私の原因かもって言ったけど、やっぱ違うし、この前私が謝ったの撤回するから!」

「……」

「そりゃあんな女ばかり居ると美咲ちゃんもしんどくなって別れたくなるよ!可哀相だよっ、」


実香子の声が部屋に響く。

いつも温厚な実香子がよほど苛立ってんのか、俺を睨みつけた。

でも、そう思われても仕方がない俺は何も言い返せなかった。


「…―――おいおい、実香子どした?お前の声響いてっけど」


苦笑い気味で入ってきた蓮斗が俺たちを見て、更に笑う。

そんな蓮斗に実香子は怒ったまま蓮斗を見た。


「俺見て睨むなよ。何怒ってんの?」

「だって、翔くんまた訳わかんない女連れ込んでんの!」

「あー、さっきのエッロイ女のこと?そこですれ違ったわ」

「そうだよ!ほんと翔くん最低だよ!」

「お前また病室で何やらかしたん?」

面白そうに笑う蓮斗はパイプ椅子に腰を下ろし、持っていたビニール袋をテーブルに置いた。


「なんもしてねぇよ」

「え、また?またって何?」


実香子が更に顔を顰める。


「だから何もねぇって」

「してたじゃん!あの女がベッドに座ってさ、めっちゃ至近距離で何かしてたじゃん!」

「だから何もしてねぇっつってんだろ。ほら、お前早く血取れよ、さっきからずっと腕出してんだからよ」

「ほんっとサイテー」


イライラしながら実香子は俺の腕に針を触れさせ、

「…って、」

あまりの痛さに実香子を見た。