Existence *

「ねぇ、翔くん?」


実香子に背を向けた時、実香子の小さな声が背後から聞こえた。


「うん?」

「翔くんは何も思ってないかも知れないけど、翔くんは皆から愛されてるよ?」

「は?なに急に…」

「みんな心配してる。…今日ね、レン君来たの。外出中って言ったら、また来るわって帰ったけど」

「そう」

「私さ、病院に勤務して思ったんだけど、こんなに次々と友達来る人初めてだよ。ほんと来すぎってくらい翔くんに会いに来る」

「みんな暇だからなぁ…」

「違うよ。それほど翔くんの事が心配で好きって事だよ。…美咲ちゃんと出会えた?」

「ん、」

「きっと美咲ちゃんも心配してる。だから生きる事に執着してないなんて言わないで」

「別に死にたいとは言ってない」

「じゃあ、大切な人の為にも自分の身体の事、心配して」


それだけ言い残した実香子は病室を出て行った。

シーツをはぎ取って、深くため息を吐き、ペットボトルの水を勢いよく流し込んだ。


…―――退院、いつ?

そう言った美咲の言葉が頭を過る。

ほんと、勝手すぎ。

何もかも自分で決めて、何もかも全て自分で決断して、俺の気持ちは無視かよ。


なのに俺の事は気にして、

ほんと、

なんだよって、話し。

意味分かんねぇわ、まじで。