Existence *

一度帰宅し、シャワーを浴びて、再び病院へ戻る。

病室に向かう途中、ナースステーションで帰ってきたことを告げ、俺はベッドに倒れ込んだ。


「…―――翔くんっ、」


ガラッと開いた扉。

慌てた様に実香子が顔を出した。


「なに?そんな慌てて」

「帰って来ないのかと思った」

「帰るっつってんだから帰ってくんだろ」

「お酒、飲んでないよね?」

「飲んでない」

「ホントに?アルコール検査するよ?」

「ここまで車で来たから飲んでねぇよ」

「そっか」

「なぁ?俺いつまで入院すんの?」

「順調にいけば3月の初旬」

「順調の基準が分かんねぇんだけど。今も順調だしよ」

「念には念をって言葉あるでしょ?」

「まじ、何言ってんだよ…」


俺の呟く声に実香子は苦笑いをしながら体温計を差し出す。

腕を出す俺に実香子は手首にそっと体温計を触れさせた。


数秒経ってピピっと音がすると実香子は軽く頷く。


「大丈夫。熱ないね」

「あるわけねぇだろ。つかさ、お前ずっとこの病院に居んのな」

「え、なに?どういう事?働いてんだから居るでしょ」

「そう言う意味で言ってんじゃねぇよ。そんな働いてっと流星に会う時間なんかねぇだろ」

「え、なに?気にしてくれてるって事?」

「別にお前らの私生活に興味ねぇよ。ただ俺ばっかりに構ってんなってこと」

「だって翔くんは患者さんでしょ?患者さん見るのが私の仕事だもん」

「そーっすね…」


見つめて来る実香子から視線を外し、俺は身体を横にし、目を瞑った。